今回はDVDの高速化の話題の予定だったけど、ちょっと変更してデジタルカメラの話題などを。
■F710試作機がやってきた
富士写真フイルム(以下、富士フイルム)の新製品デジタルカメラ『FinePix
F710』がやってきた。といっても、やって来たのは3月21日の発売前の試作機だ。この製品、ある意味では最近のデジタルカメラに見られる傾向をかなり凝縮して作り込んだ製品であることを感じる。
F710のフロントビュー。 |
さてはて、『FinePix F710』は富士フイルムが誇る高解像度CCD「スーパーCCDハニカムIV SR」1/1.7インチを搭載、コンパクトと高性能を両立するデジタルカメラだ。総画素数は620万画素で、実質は310万画素相当、ハニカム補間という技術を用いてデータ記録時に620万画素相当になるしくみだ。
くわしいしくみはおいおい解説したいが、このCCDの特長は広いダイナミックレンジだ。ダイナミックレンジとは新型の電子レンジのことではなく、ここでは画像の色再現能力を表わす数値のことだ。この説明でも意味不明なので解りやすく言うと、ダイナミックレンジが小さいとは「本当はそこに画像があるはずなのに白く飛んでしまったり、黒くベタ塗りされてしまう」ことを意味する。ありがちなのが、背景の空と雲がほとんど白っぽくなってしまって再現されなかったり、縁側で撮影したときに部屋の中が真っ暗にうつるシーンなどだ。で、このCCDはその逆、そういったシチュエーションでもきちんと再現する能力が高い、というのが強化ポイントというわけ。
■ワイド画面ってどう?
F710の液晶は視野率も高く、クリアな印象だ。
ワイドサイズでプリントもできる。富士のDPEショップに依頼してできた紙焼きプリント。1枚40円。画質はバッチリ。カラープリンタはやめて、お店プリントした方がいい。
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ところで、『FinePix F710』の最大の特長は16:9のワイド液晶ディスプレーを搭載していること。もちろん画像も16:9。従来の4:3にも対応する。
言ってみれば、パノラマ写真のように、4:3のCCDで受けた画像(光)の上と下を切って16:9で画像を保存しているしくみだ。プラズマも液晶も、ブラウン管だって今時のTVはみんなワイドだ。DVDもカーナビもワイド、いまやなんでもワイドの時代、だからデジタルカメラもワイドで行こうというわけだ。
それ以上でも以下でもない。ワイド画面が「見やすい」という人もいるだろうし、「本当は写っているはずの上下をカットするなんてもったいない」と言う人もいるだろう。「好み」の範疇だ。
もちろん、DPEショップで写真をワイドサイズでプリント指定することはできる(左写真)。店頭のセルフ端末〜キオスク〜でのワイドプリントはできるのかなぁ?
ウェブで調べた限りではワイドサイズはないようだ。ちなみにプリンタで写真印刷を楽しんでいる人には、このサイズはまだイレギュラーであることは否めない。
で、実機は実にコンパクト。レンズは非球面レンズ3枚を含む5群6枚のフジノン光学4倍ズームレンズだが、電源オフ時はきっちりとボディの中に収容されていて、使うときだけニョキニョキ出てくる。焦点距離32.5mm〜130mm相当(35mm換算)で、特に不満はない。ボディはステンレス製で質感と剛性感は抜群。アルミ合金もいいけど、ステンレスも店頭でぜひ触ってみて。本体左にある出っ張りが手にほどよく突っかかって持ちやすいホールド感。スイッチ類も安っぽさはない。う〜ん、こだわりを感じ始めちゃったかも。
ボディ背面の、視野率約100%の2.1インチCGシリコン微反射型TFTカラーワイド液晶ディスプレーは約17万3000画素、アッと声を出してしまうくらい綺麗。しかもワイドだから・・・な〜んかいい感じだ(それ以上でも以下でもないのだけれど)。
■多機能に驚く。正直言って驚く
F710で撮影した画像。16:9のワイドモード画像。どうです?
(従来通り4:3でも撮影可能。) |
実を言うと、コンパクトデジタルカメラなら、この程度の機能だろーなという推測が合ったのだが、『FinePix F710』は多機能なことに実はびっくりした。まずモードダイアルを見て、「あら、マニュアル操作もできるんじゃない」などと世間知らずな反応をした後、エリア選択AFやマニュアルフォーカス機能程度になかなかやるなと苦笑い、最短約0.2秒間隔で連続5コマまでの「高速連写」、シャッターボタンを押している間、最短約0.2秒間隔で連写し続け(最大40コマまで)、指を上げた瞬間の直前の5コマを記録する「サイクル連写」はサッカーの撮影に便利かもと関心、ここまでくれば露出オートブラケティング機能(オーバー・適正・アンダーの3段階でカメラが自動的に露出を変え、連続して撮影する機能)は当然としても、うぎゃRAWデータの保存に、ヒストグラム表示も付いている・・と。コンパクトデジタルカメラ、侮るべからず。
何点を言えば、折角RAWで保存できるのに添付の現像ソフトが力不足。ただJPEGやTIFFに変換するだけでは心許ない。
■デジタル写真立て・・欲しい
クレードルに乗せたF710。液晶ディスプレーが斜め上を向くのでデジタル写真立てになる。スライドショーも可。 |
F710にはクレードルが付いていた。クレードルとは「ゆりかご」の意で、PDAなどでよく付属しているアレ。F710をクレードルに乗せるとバッテリー充電が始まる。クレードルのスイッチを入れるとF710の画像ビューアーが起動し、撮影した画像のスライドショーができる。ありゃ、これはデジタル写真立て?
視野率が高いので十分実用的でカッチョいい。パソコンとクレードルをUSBケーブルで接続していれば、これまたスイッチひとつで連動し、パソコンにインストールした画像ビューアーが自動起動する。F710の画像をパソコンに取り込むのも簡単だ。
今回、届いたのは試作機だったため、室内の撮影では多少露出やホワイトバランスにトラブルや難があったけれど、機能面では満足。前述の通りコンパクトデジタルカメラだからできない、といったことはずいぶんと減っているなぁという感想。また、屋外で撮影したサンプル画像を掲載しておいたので、画質に興味がある人は見てね。ワイド写真はどう?
気持ちいい?
F710のワイドモードで撮影。 |
比較用にパナソニックLUMIX FZ-1で撮影。 |
ワイドの縦はちょっとどうかな〜(汗;)。 |
※ちなみにこのF710、発売早々初期ロットにトラブルが出てしまい、ファームウェアのアップデートを行った。ユーザはWEBサイトを要チェック。最近のハイテク機器に初期ロットのトラブルはよくあること。今回の富士写真フイルムの対応は早かったと言えるだろう。
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