■内蔵ハードティスクのこと、知ってる?
かくして内蔵ハードディスクの時代が到来した。接続が簡単な外付けハードディスク、価格が安い内蔵ハードディスクというメリットが一般的だが、概ね間違いはない。今回は、デスクトップ用の内蔵(3.5インチ)ハードディスクのお話をしよう。
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内蔵ハードディスクというと部品っぽい扱いが一般的だ。箱に入った「市販品」と、プチプチにくるまれただけの「バルク品」とがある。市販品には接続マニュアルが同梱されている製品もあるが、たいていは初心者ユーザが迷わず接続できるというレベルにはとうてい及ばず、中級者がジャンパスイッチなどの確認のために読むことを前提としたような内容だ。
「バルク品」はそれこそ部品として流通しているものを安く店頭に並べてあるもので、本来はパソコンメーカー向けに大量生産された製品の一部を横流ししたものであったりするので、外箱やマニュアルなど製品じみたものは用意されていない。問合わせ先もないからサポートなんて期待してはいけない。初期不良だけはたいていショップが取り替えてくれるがサービスと言えばその程度だ。だから安い。
内蔵ハードディスクはこんな状態だから、会社でエクセルやワード、ノーツを使う程度の人が自宅のパソコンに内蔵ハードディスクを増設しようとすると、結構高いハードルが立ちはだかってしまう。それほど難しいことはないのだが、マニュアルがなければできない人はできない。必然だ。
■内蔵ディスクの選び方
さて、増設方法、取付け方法はさておき、内蔵ハードディスクはどのように選択すれば良いのだろうか。「どれも同じだろう、安いものでいいよ」というのは実は間違いで、各メーカー、いろいろな特色があり、使い心地もかなり違うのだが、なにせ部品として流通しているだけにこの型番の製品が良い、といっても店頭にそれが置いてあるかどうかも解らず、すぐに新製品へとスイッチされるので、初中級者向けに内蔵ディスクのレビュー記事を書くのはとても困難なのが定説だ(マニア向けになってしまいがちだ)。そこで、今日はポイントだけかいつまんで紹介したい。
■内蔵ディスクの性能は?
ハードディスクを選ぶとき、どんな要素が大事だろうか。
まずは何GBの容量か?
Windowsパソコンには内蔵ハードディスクは必ず入っているから、内蔵ディスクを買おう、という大半の人は買い増しだ。だから、より大容量の製品が欲しい。バックアップに使うとしてもパソコンに内蔵されているディスクより小さいディスクでは役不足は当然だ。時期によって費用対効果が高い、つまりお得な容量というのがある。いま買うなら40GBがお得だ。
次に高速かどうか?
パソコンの起動時にWindows OSを読み込んだり、バカでかい動画ファイルを保存したり、ハードディスクは高速性がポイントだ。高速性を見る仕様の数値は、平均が5400回転(rpm)だ。7000回転以上のモデルは高速型、4000回転台のモデルは廉価版として作られた製品と思って良い。他に内蔵メモリ(バッファとも呼ぶ)と平均シーク時間というのがあるが、これはどの製品も大差ない。バッファ2MB、平均シークは10ms以下ならOK。
IDEとかATAって?
内蔵ハードディスクは通常IDE接続と呼ばれることが多い。また、接続インタフェースに「ATA100」とか「Ultra ATA133」とか書いてあるのをよく見かける。一体、どういうことか?
「ATA」はAT Attachmentの略で、主に「IDE」と呼ばれる仕様を規格化、更に拡張したものだ。だから一般に使うには同じことを指していると思っていい。技術の進歩に合わせ、ATAはATA33、ATA66、ATA100と最大転送速度をどんどん向上した規格に進化している(ATAの後ろの数値が転送速度を表す)。現在はATA133が最速。
さて、本当にハードディスクに一番必要な性能とはなんだろうか? それは「信頼性」、つまり壊れないことだ。
「スンゲー高速で超快感なんだけど、だいたい一週間しか、もたないんだよねーっ」的な製品では意味なしなのである(当然)。
■メーカーはどこがいいのか
ハードディスクメーカーは淘汰が進み、実は今はそれほど多くない。Maxtor(マックストア)、Seagate(シーゲート)、IBM、サムソン、WD(ウェスタンデジタル)だ。日立と富士通も作っているが今後ますます少量になっていく様子。日本人には人気が高かったQuantum(クアンタム)はMaxtorと合併した。Quantum(クアンタム)製品のクォリティはMaxtorブランドに受け継がれている。個人的には最近、Maxtor(マックストア)、Seagate(シーゲート)を好んでいる。
■見るからに部品な内蔵ディスク、でもよく見て!!
右の写真は典型的な内蔵ハードディスク、IBMの『DeskStar IC35L』シリーズ だ。ディスクの裏側は基盤むき出しで、取付時には怪我や静電気に注意だ。ケーブルも、ピキッと切ってしまいそうだ。ぶつけてICを落としたりしないように(笑)。
性能は40GBで7200prmだから、それなりの高速大容量だ。価格も安いし、IBMブランドということで、持っている人も多いのではないだろうか。しかし、個人的には×。うちには7〜8台程度あるが、とにかく壊れる。確率的にはかなり高い。2台初期不良で返して、3台壊れた。50%以上の故障率だ。
あまり知られていないかもしれないが、裏側が基盤むき出しのディスクばかりではない。
これはSeagateの『Baracuda(バラクーダ) ATA II』 だ。ST32シリーズで20GBタイプ、既に旧タイプのものだ。よく見て欲しい。バラクーダのイラストがイカしているが、見て欲しいのはそんなところではなくディスクドライブの裏側。基盤は完全にプレートでガードされているので取り扱いがとても安心だ。裏側には操作方法(英語)やジャンパピンの設定などが書かれている。本来はこうであって欲しいモノだ。
Seagateの普及型STモデル 。これも20GBタイプで価格も安いので人気があるのだが、これも秀逸。ゴム製の洋服を着せられ、ボンデージ状態で心地よい。いや、安心だ。おぞましい裏の基盤を見なくて済む。静電気にも必要以上にナーバスにならなくて良い。Seagateはこのようにユーザに配慮できる数少ないディスクメーカーだ。
これはMaxtorの比較的新しいモデルのひとつ『DiamondMax D740X-6L』 。日本人に人気のクアンタムのデザインを踏襲するモデルだ。話題の「流体軸受」仕様。「流体軸受」とはハードディスクのディスクを駆動するモータ(スピンドルモータ)に、従来のボールベアリングタイプではなく、動圧流体軸受タイプの構造を採用したもの。富士通、Seagate、Maxtor社などのドライブが製品化されていて、動作音が静かで高速性能も高いことで注目されている。7200prmで抜群に速い。少し予算に余裕があるなら狙いたい。(現在12,000円程度で買える、と思う)
このモデルも裏側の基盤部分だけはプレートでカバーしてある。メンテナンスを考えてか、ICチップなどが見える状態だが、何もないよりずっと良い。
こうして見ると、内蔵ハードディスクといえども購入時には製品形状を見て触って納得したいものである。プチプチの中をじっくり眺めて、取り扱いに優しいモデルの中から、予算に合わせて高速大容量の製品を選択したいではありませんか。
次回はゴールデンウィークなのでお休みです。