■インターネット電話とテレビ電話
テレビ電話って今までぜ〜んぜん普及する気配もなかったよね。まぁ、そもそも、電話とテレビ電話のニーズなんて別物で、例えば「家でリラックスしているとき、スッピンのときにテレビ電話じゃ出られない」なんて声もあったりして・・ね。しかし、テレビ画面というか、カメラ機能をオン/オフするのが自由なテレビ電話がそろそろ流行ってきてもいい頃だ。手塚先生や円谷先生らが描いた未来像には必ずといって登場してくるのだから・・・。
というわけで、ハイブリッドカーとともにテレビ電話がCMに登場するようになってきた。しかし、一般の電話機にテレビ画面が付くのではなく、パソコンによって実現する。言い換えれば、インターネットとパソコンがテレビ電話を実現しようとしている。しかも、ブロードバンド時代ならコストはほとんどかからない。なに?
インターネット電話ってなにかって? 知らない人のために最近、月刊誌「仕事とパソコン」(研修出版刊)のIT用語で僕が書いた記事から、ちょっと抜粋。
米国ではインターネットの登場とほぼ同時にインターネット電話(音声)が注目を集め、既に1000万人ものユーザを持つサービスもあるほどです。インターネット電話は、一般の電話回線とその設備を利用するのではなく、インターネット回線を利用して音声データをやりとりする仕組みです。難しく聞こえるかもしれませんが、電子メールが文字情報をデータに変えてやりとりしているのと同じく、音声をデータに変えてリアルタイムでやりとりしていると考えると良いでしょう。
で、インターネット電話にはパソコン間で行うもの、パソコンから一般電話にかけるもの、一般電話から一般電話にかけるもの、の3種類がある。ちなみにテレビ電話はパソコン間で行うもの、でのみ実行できる。
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さて、インターネットとパソコンを使ったこのインターネット電話(パソコン間)、ならびにテレビ電話機能、Windowsを使っている人、特に高速なブロードバンド環境にあって、なおかつルータを使っていない人なら、とっても簡単にできてしまうのである。やらない手はない。
遠距離恋愛でなかなか彼(彼女)に会えない恋人達よ、近場でささやく優しい上司の誘いについフラフラしてしまう前にこれを使うのだっ!!
会社から帰ったらすぐにパソコンの電源をオンにして彼(彼女)からのアクセスに待機待機だっ。
たーいーきぃーっ!!
うきぃーっ!!(意味不明)。
きっと彼(彼女)も帰って来たらすぐにパソコンの電源をオンにして、キミが待っていることを知るだろう。こうしてデジタル世界のたったふたりきりの空間でラブラブな会話を楽しむことができるのだ。しかもタダ。タダッ!
タダッ! タダッタダッタダッ!(意味不明) いくら喋ってもタダなんだから、使わないヤツは大損だぁ。
もちろん仕事でも使える。東京-サンフランシスコ間などの国際電話がタダになる。しかも顔を見ながら親近感を持って打ち合わせすれば、いつものギクシャクした会話だってスムーズにことが運ぶというものさ。
■インターネット電話に必要なもの
パソコン間でインターネット電話を実現するのに必要な物は、パソコン(当たり前)、スピーカーとマイク、そしてIM(インスタント・メッセンジャー)ソフト(無料)だ。試しにやってみたいという場合、パソコンにはたいがいスピーカーは付いているから、カラオケ用とかオーディオ用とか、とにかくパソコン(のサウンドボード)のマイク端子にささるマイクさえ調達すれば良い。
「じゃあ、買うぞ」という人はヘッドセットがお勧め。ヘッドホンとマイクが一体になっていて、コールセンターや電話受付の人がよく付けているアレだ。ヘリコプターに乗っている人も付けているがあれはデカいし、業務用で高いのでやめとこう。で、ヘッドセットはだいたい1000円〜3000円くらいで買える。スピーカーとマイクでやると残響が発生してお風呂や土管の中で会話しているみたいになる。だからヘッドセットは絶対お勧めだ。
パソコン用のマイクは1000円程度で販売されている。 |
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ヘッドホンとマイク一体型のヘッドセットがあるとより便利。1,000円〜2,500円程度で購入できる。 |
これだけでインターネット電話の準備はOK。しかし、更にテレビ電話にしたいというのならビデオカメラが必要だ。パソコンショップに行くと「WEBカメラ」というジャンルのものが売っているし、最近流行の「おもちゃデジカメ」でも代用できる。ただし、おもちゃデジカメの場合、電池でしか使えないものも多いので、いっつも使っていたいという人は要注意だ。いっつも使いたいならAC電源接続かUSBバスパワーで動作する製品を選択する。
更に、ビデオカメラやデジタルカメラがあると、
CMでお馴染みのインターネット・テレビ電話が実現できる。
この機種エヌエイチ・ジャパン・ホールディングスの『Che-ez』は
電池なしでも利用できるのでお勧め。
これでハードウェアはそろった。次はソフトウェアだ。
■IM(インスタント・メッセンジャー)というもの
インターネット電話やテレビ電話を行うのに必要なソフトウェアはインスタント・メッセンジャーと呼ばれる。キーボードから入力した文字がリアルタイムに表示されて対話する「文字チャット」や、即時性のあるコミュニケーション機能や画像や表計算ファイルなどを直接相手のディスクに送信する仕組みが代表的な機能だ。つまり、文字を中心にしたコミュニケーションをしながら、デジカメで撮影した画像を送り合ったり、作成した統計資料を送信して報告したりできる。で、IMの拡張機能に「音声チャット」や「ボイスチャット」という機能があってそれがインターネット電話、ビデオチャットや「NetMeeting」(マイクロソフト)がテレビ電話機能というわけだ。そんなわけだからIMをゲットしなければ始まらない。
国内では最もユーザが多い(らしい)IMは、マイクロソフトの『MSN
Messenger』だ。「文字チャット」では複数のユーザで同時に意見交換できるし、タダなので深夜のネットユーザが情報交換によく利用している。「音声チャット」も可能だ。また、別途提供されている『NetMeeting』を利用することでテレビ画面付きのインターネット電話機能が実現する。なお、Windows
XPには両方のソフトを合わせた機能『Windows Messenger』が標準装備されているので、F社のパソコンのCMのように、社会人としてのマナーに欠ける息子さんとお父さんがビデオで会話できるというわけだ。
マイクロソフトのIM『MSN Messenger』で文字チャットをしている画面。
Windows Updateから入手できる。「音声チャットの開始」をクリックして相手の接続を促す。
「電話機で話した方が早いじゃん」という生意気なセリフは禁句である(笑)。
『MSN Messenger』と『NetMeeting』を合わせた機能の
『Windows Messenger』が Windows XPには標準装備されている。
タスクバーにある「.NET パスポート」というのがその登録の窓口だ。
■なんで無料なのか?
マイクロソフトのほかに、ヤフーの『Yahoo!メッセンジャー』やAOLの『AOL
インスタント・メッセンジャー』のソフトウェアとサービスなどが無料で提供されている。「なぜ、これらのソフトウェアやサービスは無料で利用できるのだろうか」と疑問に感じる賢明な読者もいることだろう。それは、言ってみれば囲い込みのシェア争いだ。それぞれのIMは、インストールする際にユーザ登録を行い(無料)、ユーザIDとパスワードを登録取得する。すなわち無料だが会員になる、ここがキーポイントだ。将来、個々のユーザはそのID情報を基本としてインターネットの様々な情報やサービスを受けるようになるだろう、という青写真が業界にはある。Windowsだって、やがてはコンテンツ中心の「.NET」サービスへと移行していくと言われていて、『Windows
Messenger』の利用開始時に登録する.NETパスポートが重要な位置を占めるようになるとされているのだ。だから各社はIMのソフトウェアやサービスを無料で提供することによって、より多くのユーザID登録情報を集めるのにやっきなのだ。
とはいえ、ユーザにとって無料、タダはとってもありがたい。どうせ、どこかに登録するなら今のうちにいろいろ使ってみて、お気に入りの組織を選んでおくのも良いだろう。というわけで、IMそれぞれにも特長があるので、いろいろ使ってみるのも一興だ。
また、ルータやファイアウォールを利用している人はWindows Messengerやインターネット電話が正常に動作しないという問題もあるので、その対策も含めて、次回は具体的な操作面を紹介していきたい。
お楽しみにぃ。 |