DVD-Rメディアがついに店頭価格400円/枚を切ったー(アキバ界隈)。
うれしーっ。当たり前だー。もっと下がれーっ。閑話休題。
■DVDウォーズ 勃発
long long time ago・・・・
人々はレコード盤に替わり、世の中に君臨した光り輝く円盤に魅了されていた。それはレコードよりもよほど小さく、そして「音がクリアである」と表現され、崇められた。レコード店に並ぶその銀盤は「CD」と名付けられ、人々は群がり、たくさんのロイアリティを上納した。
大衆は広場に集まり、「CDには限界が来た!!」「映像にも銀盤を!!」と声を上げた。CD帝国はその求心力を急激に失い、民衆は21世紀型円盤を求めて集った。そして、次世代の銀盤たる「DVDの冠」を目指して、大きな、いくつかの力がうねりとなって打ち寄せたのである。
「スーハー、スーハー・・・我が軍は数十年に渡り、CD帝国を築いてきた。民はCDを求めてロイアリティを上納してきた。今、時代は新たなメディアを求めている。それはDVDだ。しかし、DVDの標準規格として、我々が提唱しているマルチメディアCD(MMCD)規格(仮名)に準じないという輩がいる・・・許すマジ。スーハー、我々のMMCDは音と絵が出る愉快なCD、CDiの延長にあるにも関わらず、新参者の規格にしてやられるわけにはいかんのである・・スーハー」
(BGM)ダンダンダン、ダン、タダン、ダン、タダン、ダン、タダーン・・・
巨大艦隊を率いて、CD帝国のみならず、DVD帝国をも築こうともくろむのは、無論、日出ずる国の人気者船団ソノニーと蘭の国プスッフィリーの同盟軍だった。彼らはMMCD軍を名乗っていた。
■ジャバ・ハ・リウッド
一方、新たなる時代の覇者となるべく決起し、別の規格を旗に掲げて、帝国軍に対して宣戦布告したのはSD軍(仮名)だった。SD軍の主要な構成メンバーは、明治8年創業の古参シバウラトー軍と商人の神様シタマツ・ハマリナ軍だった。そのSD軍にこれまた古参のキニナルキー軍とカルビーのロゴによく似たパニオニ軍が加勢し、莫大なロイアリティをめぐる帝国軍と革命軍の戦況は混沌へと突入したのである。
権力争いの鍵を握るのは、巨体を震わし、世の人々を夢と幻の映像に引き込む幻術士「ジャバ・ハ・リウッド」だった。人々は彼が制作するムービーと呼ばれるマヤカシに惹かれ、莫大な年貢をこぞって貢いでいたため、それはビッグビジネスが動く巨大産業を形成していた。「ジャバ・ハ・リウッドの機嫌を損ねるとビジネスができない・・」そんな噂が城下に流れると、シバウラトーとシタマツ・ハマリナの二つの軍はジャバ・ハ・リウッドに近づいた。ジャバ・ハ・リウッドは当初、マヤカシのデジタル化に反対していたが、ビッグマネーが転がり込む仕掛けを組み込む用意がある、とアピールしたSD軍にやがて興味を示し始めた。
そのとき歴史が動いた・・・ジャバ・ハ・リウッドは言った。
「げひげひ、なんだ〜、規格さえあえばどこの国でも誰でも再生できる、阿呆なビデオはやめじゃ〜っ。なになに、国ごとに再生できるムービーを制限できて・・ふむふむ、映像はそのままでも、字幕だけを入れ変えれば他の国に使い回しができて、なななな〜んと、なによりコピーができない・・げひげひ、これでロイアリティがガーッポガーッポじゃに〜。DVDはSD軍に〜」
こうして戦況はSD軍に大きく傾き、MMCD帝国軍は敗退した。
■新帝国の創設
DVD帝国は「DVDコンソーシアム」(仮名)と名付けられ、新たなる宇宙の平和を目指してスタートを切った。かつてはMMCD帝国軍として刃を交えた敵軍も、いつしか平和の名のもとに肩を寄せていた。いや寄せているかのように見えた。
かつて帝国打倒を掲げてSD軍として戦った各軍も、平和を満喫しているうちに意見の食い違いを感じ始めていた。
「DVDとは家電とパソコンをつなぐ夢のメディアだからな・・はっはっは」
「なにをおっしゃる、DVDとはこれ、次世代LDにあり・・」
「なんとっ!!」
新帝国軍はいつしか2つの陣営に分裂していた。
ひとつは"DVDは記憶装置である"を基本として、ランダムアクセスを主眼とした物理フォーマットになっている「DVD-RAM」陣営だ。パソコンでもビデオカメラでも、DVDレコーダーでも共通の規格を取り入れ、ビデオカメラやレコーダーで録画した映像やメニューをパソコンなどで編集する機能も有している。ただ1点不安なのは、DVDプレイヤーに互換性が低い、ということだった。
もうひとつの陣営が「DVD-R/DVD-RW」だ。追記型DVDディスクであるDVD-Rの最大のウリはDVDプレーヤーとの互換性(再生専用DVDディスクとの高い互換性)だ。CD帝国全盛期、音楽CDに異常な愛欲を覚えたMP部族と同様に、映像に愛欲を感じるマニア部族に絶対の指示を得ている。彼らは「大量に出回るプレス板が基本にあってそれに適応した記録メディアがメジャーになるという考え方である」という聖書を片手に正当性を主張するのである。
こうして内部分裂気味の新帝国軍を影でほくそ笑む勢力があった。
■旧帝国の逆襲
「ふっふっふ、今こそ立ち上がるときが来た。新帝国軍はDVDが記憶装置が基本か、再生ディスクが基本か、で大きく割れている。神は我々を見放さなかった。膨大なロイアリティーを我らの手に!!」
旧帝国軍の陣営だった。彼らは、DVDフォーラムとは別のところで革命軍アライアンス(仮名)を名乗って宣戦した。その名も「プラスRW!!」。
「ワッカリニクイデース!!」
「マイナスだのプラスだの、当て字みたいなのはヤメテーッ」
小市民の言葉には耳も傾けず、「+RW」軍は発信した。
「スーハー、スーハー、我々は記憶装置であって、再生メディアでもある、いいとこどりだ。いっつもそーだ。いっつも我々が勝者じゃないと嫌なんだもーん。さぁ、年貢を納めよ!!
うちはプレーヤーとの互換性も理論上バッチリだー」
DVDフォーラム帝国市民は言う。
「でも、あんた達正規軍じゃないでしょ? プレーヤーは保証してくれてんの?」
こうして再び戦いの火ぶたは切られた。
ユーザ達はひややかに言う。
「そんなことやってねーで、規格統一して、もっと安くなんねーのかぁ?」
消費者不在のDVDウォーズ、混沌。
そんなこと関係なしにDVDプレーヤーは売れてるんだもーん。
DVDタイトルって買いたいんだもーん。だって。
■一番の混沌、やっぱりPC(恥;)
実は一番迷惑を被っているのはPCユーザであった。DVDプレーヤーがその世界で標準を普及させ、消費者はトールサイズのパッケージをわくわくしながら開封しているというのに、PC業界では、COMPAQやアップルに搭載されたDVD-RやDVD-RWで書き込んだメディアがDELLやHPのDVD+RWで読めないとか、パナソニックのDVD-RAMがアップルで再生できないとか、相変わらずショボイことでもめているのである。挙げ句の果てに「今まで買ったDVD+RWでは、DVD+Rは使えません」だって。HPとDELLはユーザに吊し上げられるかもしれない。とほほ。
しかも、その上、ソフトウェア帝国を牛耳る暴君クログロソフト軍の最新OS、ウィンドローズなんとかがDVD+RWを指示したりすると表明。なんという奇天烈。
規格を選ぶのはメーカーではなく消費者なのだ。
※この物語はフィクションであり、登場する軍隊、規格、集団はすべてフィクションです。きっと。 |