僕はいま電脳人として嘆いている。実に悲しい。
悪質なウィルス、ハッカー、プライバシー情報の流出や侵害、誹謗中傷、オークションでの詐欺事件・・インターネット上の悪質な事件はインターネット人口の急増とともに拡大していくばかり。マスコミは時としてあたかもインターネットそのものが危険な場所であるかのように書き綴ってしまう。危険なのは、常にそれを扱う人間であるのにも関わらず。

さて、今日からは、インターネットを少しでも安全に使うための初級講座を開催したい。なにせ、僕の元には毎週のように知人からインターネットの悩み相談が届く。最近の旬はやはりウィルスがほとんどだが、ウィルスがどのようなものなのか、ADSLに変更してどのような危険に晒されるのか、といった内容が多い。そんなわけで、この講座でインターネットの危険性と安全策に関する「今更ヒトに聞けない」情報をゲットして頂けたら、と思う次第だ。

■平和ボケから卒業だ
まずは何はともあれ、多少なりとも米国で生活した者として、敢えて日本人全員に苦言を呈したい。今こそ平和が前提の平和ボケ国民から脱皮するときだ。海外で生活していると、危険はそこここに転がっている。夜、ダウンタウンを歩くときはいつでも悪事の標的にならないようアル程度の緊張感を持って行動する。みんなそのリスクを肌で感じながら生活している。

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某平和ボケ国の渋谷のセンター街のコギャルなんてエサが歩いているようなもんだ。あそこだけ切り取ってサンフランシスコやLAに持っていけば半月で死滅するだろう。信号待ちではオカしなヤツがクルマの窓から乗り込んできてカネをせびるし、1ブロック隣では発砲事件で一般市民が殺される。当然、子供がひとりで公園で遊んでいる光景なんてあり得ない。

そんな社会の方がもちろん病んでいる。確かにそうだ。否定しない。しかし、今は理想論ではない。女子中学生が深夜まで街頭に座り込み、カギっ子小学生が公園でひとりで遊び、エンジンをかけたままのクルマを路上に駐車し、終電に乗る半数が爆睡している社会に、「インターネット上には悪いヤツもいるんですよ」と言ってもそりゃあ理解できないものだ。ほっておけば被害者になった次の瞬間、加害者に転じるネットの暗黒面。まずは認識を変えなければ悪事は撲滅できない。

インターネットでは、悪いヤツが常にあなたを被害者にしようと狙っている。
そして、常にあなたを加害者にしようと狙ってもいる。

■猛威をふるうウィルス達
2001年はウィルスの当たり年だ。実に凄い勢いで、僕のところには連日10通〜20通のウィルスが届く。幸い知るところのすべてのウィルスをノートン先生(勝手な相性(笑))が見つけてアクセスを拒否してくれるので事なきを得ている。「今まで一度もウィルスが添付されたメールを受け取ったことがない」という人はとてもラッキーか、さもなくば既に感染している。

メールを受信する際に、ノートン先生がウィルスをみつけて教えてくれた画面(Windows2000)。Windows98だともっと派手な画面で警告してくれる。(Norton AntiVirus 2000)

一度のメールチェックで届いたウィルスの数々。すべてBadtrans.Bだ。ベッキーだから良いものの、MS Outlookで自動的に添付メールを開くプレビュー設定にしていたりするとおだぶつだ。Norton AntiVirus 2000では、この時点でアクセス拒否状態になっているので手動で消せばおおむね抹消できるが・・・。

■Outlookユーザは特に注意だ
この秋から最近にかけて、猛威を振るっているのは、主にWindows-NTや2000などサーバ系を攻撃して感染する「CodeRed」と「Nimda」、メール添付で増殖する「Sircam」と「Badtrans.B」だ。

「Nimda」は感染力が強い。ホームページを閲覧しただけで感染する、というからそら恐ろしい。Internet ExplorerやIISのセキュリティ・ホール(安全面での不具合)から侵入して感染する。感染するとメールをバラ巻き、Outlook系のメーラを使っているパソコンは特にたやすく感染してしまう。これもセキュリティ・ホールを突いた荒技で、マイクロソフトはInternet Explorer、IIS、Outlook系などそれぞれにセキュリティ面を強化したバージョンやパッチを緊急リリースした。

一般ユーザでも感染しやすいウィルスは「Sircam(サーカム)」と「Badtrans.B」だ。
最近のウィルスの傾向としてはNimdaにも見られるとおり、アドレス帳に登録してある人に送りまくったり(Sircam)、未読メールに勝手にウィルス添付して返信したり(Badtrans.B)、メールで増殖することがあげられる。そこで、知らない人からなんでこんなにウィルス・メールが来るのだろう、と不思議に思った人もいるかもしれない。ウィルスによってはアドレス帳や未読メールのみならず、Webブラウザが過去に閲覧して、一時ファイルとして保管されている内容を見て、メールアドレスを抜き出してバラ巻くという巧妙なワザを使うので、ホームページに「問合わせ先」としてメールアドレスを公開している人、そのホームページが人気あればあるほどウィルスが届く確率は高い。とほほ。

「Sircam」は感染すると、パソコンの中のWordやExcelのファイルにウィルスを侵入させ、メールに添付して勝手にバラ巻いてしまうのである。いつの間にか加害者だ。受け取った方はいかにも興味深い添付ファイルにそそられ開くと、内容を閲覧できる。会社の経営情報であったり、ユーザリスト、電話番号やクレジットカード情報のリストかもしれない。とにかく、大切な情報が外部にバラまかれ、閲覧されてしまう。閲覧した方は「なんだこれ、ヤバそうな情報だな」とニヤニヤしている間に既に感染している。ひでぶ。

実際に送られてきたSircamウィルスの例。Outlookなどで添付ファイルをプレビューする設定になっている場合は即アウトだ。この例では、エクセルファイルが送信されているが、会員リストや経営情報だったら一大事だ。FBIでさえ、これで内部情報が流出したほど。懸命は添付ファイルと同じのため「新製品情報」「××会員リスト」「××住所録」「××シリーズ売上げ推移表」とか書かれているとつい覗き見たくなる・・・これも罠。唯一の救いは本文が英文なこと。もしそのまま日本語化されていて「元気ですかぁ? 頼まれたファイルを送りました。またね」と書かれた知人からのメールであったなら・・・・被害はもっと拡大していただろう。恐ろしい。

■ウィルスチェッカーは必須だってのよ
ウィルスからパソコンを守る方法でもっとも効果的なのはやはり「ウィルスチェック」ソフトウェアを導入すること。今時、持っていないではすまされない。即導入すべし。インターネットを通じて常に最新のウィルス定義ファイルに更新できるから、それも怠るな。新種のウィルスがぞくぞくと出てくる昨今、更新してなきゃ意味ないじゃん、て感じだ。既にインターネットのメールもファイル添付もなくてはならない機能だ。それを避けて通れない。それでもウィルスに負けないようにするには、常にウィルスチェッカーで探し出し被害者にも加害者にもならない心がけが大切だ。頑張ろうね。
ちなみに今回はウィルスが中心だったけど、セキュリティ対策で知っておきたいことはそれだけではない。

おいおい解説していくのでお楽しみにね。インターネットマン21をブックマーク(お気に入り)に入れるのも忘れずに。