インターネットのオークション。ここ、インターネットマンやインターネットマン21でも頻繁に取り上げてきたし、既にバリバリ利用している人も多いだろう。ず〜と探していた小物、欲しかったレア物などが入手できるオークション。その楽しみ方は十人十色だ。
■ネットオークションを職業にした男
今日は、ここにひとりの男を紹介する。脱サラしてオークションで生計を立てる男、その名も「シオサカ!!」(仮名:推定年齢36才)。彼はただの収集癖だったアイドルや女優の写真集を小遣い稼ぎで古本屋に売るうちに、世の中に蔓延する様々な矛盾に直面し、その回答を職業としてのオークションに求めた。リストラ・ブームの昨今、「独立して仕事を始めたい」「オークションで食っていけるんだろうか?」と考えている人もいることだろう。オークション専門のセドラー先駆者としてシオサカ氏の生き様を見よ。
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定価2〜3千円の写真集がときに数万円で売買され
プレミア写真集市場を作っている(右の写真は参考イメージ) |
今日もひとりでレッツゴーゴー古本屋。
日本中の写真集コレクターに愛を届けるため、「シオサカ」は今日も走り続けるのだっだっだっ。
(文中のシオサカ氏は実在の人物ですが、本人のプライバシー保護のため、音声は掲載していません(意味不明))。
iman
どうもどうも、シオサカさん。いつかはこうしてインタビューする日が来るとは思っていました。
シオサカ
そうですね。通常、雑誌インタビューは一銭にもならないのでお断りしているのですが、他ならぬインターネットマンの頼みとあって、仕方なく出てきました。あまりツッこんだことは聞かないでください。
iman
まぁまぁそういわずに。よろしくお願いします。
まずは、ありきたりなところで、経歴(学歴と職歴)を教えてください。
シオサカ
こう見えても某有名私大の外国語学部を卒業し、某出版社に3年勤務した後、有名シンクタンクで9年間も経理業務に携わっていました。しかし、企業の事業整理の関係で在籍していた部署がなくなることが決まり、このままでは2年以内にリストラの対象になると感じたわけです。そこで、いっそのこと退職してオークションで食っていこうと決意しました。
iman
最近ますます不景気ですから同じような境遇の人も多いのではないでしょうか。失業率5%といえば、20人にひとりが仕事を探している状況ですよね。それまではサラリーマンだったわけですから、独立して、しかもオークションで生計を立てるのはずいぶんと思い切りが必要だったのではないですか?
シオサカ
退職しようと決めていたとき、既にオークションでたくさんの商品を販売していて、会社からもらう給料よりオークションの儲けが多い月もよくありました。だから退職を決めたら迷いなくオークション業に入りました。
■写真集を中心にオークション出品
iman
どのようなものを出品(販売)しているのですか?
シオサカ
大半がタレントやグラビアアイドルの写真集です。
iman
なぜ写真集を売ろうと思ったのですか?
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シオサカ
オークションを始めるきっかけにもなったことなんですが、自分の本棚に眠っていた写真集を売りさばこうとしたことがきっかけですね。もともとの定価にしたら合計10万円以上にもなる大量の冊数の写真集を古本屋に持っていったら買い取り金額が5,000円にもならないって言われたんです。だって「お宝」とか銘打って高値付けている品ばかりなんですよ。それだったら欲しい人に直接売ろうと思い、オークションを始めたんです。
iman
元々写真集が好きだったわけですね。趣味がこうじて業となったと。
シオサカ
そうですね。古本屋巡りが趣味で、自分でコレクションする傍ら、転売して小遣い稼ぎをしてました。何年か前にアイドル写真集のお宝本ブームってありましたよね。今でも神田神保町界隈に行くと、プレミアが付いた高額な写真集がごろごろしています。定価2,000円の本に20万円という値段が付いていたり。
iman
ふむふむ。解ります。僕もシリコンバレーに住んでいる頃は、ハリウッド版お宝本を古本市で買いあさりました(笑)。
シオサカ
ところが、そう言ったプレミア写真集が地方の古本屋を回るとたまに1,000円以下で売っていたりすることがあるわけです。それをオークションが始まる前はその神田神保町界隈でプレミアを付けている店に持っていって買い取ってもらっていたわけですが、その店で20万円を付けている本でもせいぜい5,000円くらいでしか買い取ってくれないのですよ。まあ1,000円で買ったものを5,000円で売るわけですから小遣い稼ぎにはなるので、多少の矛盾を感じながらもそれを繰り返していたわけです。
iman
僕も某ブックオフで、一週間前に同じ店で600円で買った『ドカベン豪華本』の買い取りが「10円」って言われたときには矛盾と言うよりめまいを感じました(笑)。
シオサカ
・・・まぁ、似たようなものですかね(笑)。
そんなわけで、プレミア写真集を欲しい人に直接譲ることができれば、自分にとっても買い手にとってもメリットが大きいだろうにな、ってずっと考えていたのです。だって、もし10万円で買い取ってくれる人がいれば、その人は神田神保町の店で買うより10万円も安く買えるし、私は店に売るよりはるかに儲かりますからね。だからこそオークションという場は私にとって渡りに舟だったわけです。
iman
「プレミアが付く」という点でも写真集はオークションに最適というところでしょうか?
シオサカ
写真集ってコレクターの世界なんですよね。出版社は予定の数量を発行すると、そうそう増刷や再販をしません。だから気が付いてみると書店売りは終わっていて古本でしか手に入らないということがよくあるんです。AV女優(注:アダルトビデオに出演している女優の意)の写真集なんかは、まさにそれですね。古本屋がたくさんある町に住んでいる人だったら自分でまめに通って探すこともできるでしょうけれど、必ずしもそういう環境にある人たちばかりじゃないですよね。そんな人たちに入手しにくい写真集を提供しているわけです。
iman
僕は写真集に愛があるからバッサバッサとは売りさばけないタチなんですが、売りさばく人にもコンセプトはあるんですねぇ(笑)。
シオサカ
もちろんですよ。落札してくれた人にもみんな写真集に愛を持っていますから「全国の写真集コレクターの人たちに、写真集の愛をお届けする」、重要な仕事なんです(核爆)。
iman
出品しているオークションはYahoo!ですか? ほかにも?
シオサカ
今はYahoo!オークションのみですね。以前は他のオークションサイトも利用していましたが、やはりYahoo!の集客力は段違いです。いろいろな面で使いにくいところもあるのですが(笑)。あと、Yahoo!では出品できないような商品をEasySeekで出品することはあります。
iman
ではYahoo!オークションに話を絞って。毎日の出品数はだいたいどれくらいですか。
シオサカ
出品数は1日10冊から15冊くらいで、だいたい常時100冊を出品しています。出品出来ない日もありますので月300冊程度をノルマに考えています。
iman
で、どの程度の落札率なのでしょうか?
シオサカ
落札率は驚異の95%強(爆)。
iman
そ・・それは凄い。なんでそれほどまで落札率が高いのかは後ほど伺うとして、売上なんて聞いていいでしょうか?
シオサカ
売上は、だいたい1日平均して2万円から4万円くらいですね。儲けは日によってまったく異なります。
■脅威の落札率、実現のコツ
iman
さて、脅威の落札率の秘密なんですが・・。
シオサカ
いくつかありますが、まずは「常に魅力溢れる商品を並べておく」というひと言につきますね。僕のブースにはリピータも多いんですよ。新規の方もリピータの方も「これは」と思う物を品揃えしておく。僕のブースに来れば何かお宝がみつかるのでは、なんてワクワクするようなね。そのための市場調査は欠かせませんね。
iman
最近は、特定の出品者が新しい商品を出品した場合に通知する「アラート機能」がありますからね。それに登録されれば、出品しただけでユーザが見に来てくれるというわけですね。
シオサカ
ですね。それから僕流の最大のポイントは商品説明ですね。
iman
意外というか、やはりポイントというか。Yahoo!オークションを見ていると、割と商品説明はいい加減なものが多いですよね。中には「美品です」だけのものとか(笑)、取引方法だけが延々と書いてあって、だからいったいこの商品はどんなものなの?って聞きたくなることも多い。
シオサカ
そうそう。そういうページは全くダメです。写真集の定価や状態を表記することは当然ですが、それ以外にまつわるそのアイドルや女優のエピソードなどを書いています。
iman
おぉ、職人技ですね? 例えば、どんな感じでエピソードを書くと、どのようにアクセス数が上がるんですか?
シオサカ
例えば、七森美江さんの写真集を出品するとします。「七森美江の×××」だと、七森美江ファンの人やアイドル通の人にしか解りませんよね。そこで七森美江さんの経歴である「ミニスカポリスの・・」とか「仮面ライダークウガのバラのタトゥの女」と入れるとターゲットがドッと広がるわけです。
iman
「あぁ、あの娘の写真集か」とか「バラのタトゥの女の素顔見たいぞ」とか?
シオサカ
ですね。村上理央さんって知ってます?
iman
ぞ・・存じません(汗;)。どちらさまで?
シオサカ
ヌード写真集を出しているのですが、元々は東鳩オールレーズンのキャンペーンガールをしていた麻田華子さんなんです。村上理央と名前を変えてヌード写真集を出していたんですね。しかも、更にエイベックス系で売り出し中のTRINITYというグループのmocaの愛称で知られる真壁望華さんと同一人物だというウワサが流れています。業界では知られているような情報だとしても、それらの情報を商品説明に入れてあげることで「村上理央の写真集」では1,000円でも売れなかったのが、3,500円以上にハネ上がったりするわけです。つまり、商品説明を詳しくしたり、モデルのエピソード、絶版である、現在の活動などを紹介することで、全然値段が付かなかった写真集が急に高値になるなんてことは良くあることなんですよ。
iman
う〜ん。情報量が並大抵ではなさそうですね。さすがです。更に突っ込んだ話を聞かせていただきますが、誌面の都合上、次週に続きます。
次週は、愛と勇気と謎のシオサカ氏のオークション業の一日や苦労話なども掲載しますので乞うご期待!
→後編を読む
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