最近、手塚治虫先生の作品『ブラックジャック』のアニメを観たせいか、このところ医者を主人公にしたコミックを読んでいる。『ブラックジャックによろしく 』や『Dr.コトー診療所 』だ。いやぁ、どちらも面白くって止まらないなぁ。タイプは全然違うけれど(笑)。「ブラックジャックによろしく」は全体ドヨドヨしているけれど忘れていた(?)正義感を呼び起こされる。僕自身が感じている大病院の問題も取り上げられていてすごくヤバそうでいい。僕も大病院には嫌な経験がたくさんある。例えば、うちの近くには産婦人科で有名なK里病院があるんだけど、息子が風邪をひいて高熱出たとき、9時に受付に入って診察は12時だよ…、正常な人でも病気になる。しかも、診察は触診すらしない、息子の顔をチラと見ただけ。聴診器もあてない。ずっとパソコンの画面を見っぱなしで操作に四苦八苦。処方箋の入力に使った時間がほとんど。3時間待たせてこれで医者かね・・。近くの耳鼻科の場合、花粉症の季節には患者で満杯になるので整理券配って、患者は自宅で養生できる…そんな気配りは大病院にはない。で、このマンガは大学病院の裏側にメスを入れる…ドヨドヨしているけれど、ある意味じつに爽快だ。
そういえばコミックにずいぶんとハマっているので、ここでもそんな話題、ぼつぼつとお届けしちゃてもいいかな?
みんなも興味あるかな? 最近感心したのは他には『ONE
PEACE 』。ストーリーテラーだな、作者先生は。すごくよくできている。旅のメンバー集めからはじまるエピソードは常道だけど、伏線が細かく張られていて絶妙だ。絵がゴチャゴチャしているので最初は慣れないかもしれないけれど(いや、ずっと慣れないかもしれないけれど(笑))…さすが大人気作、お勧め。
・・閑話休題。
今回も連載中の月刊PC Modeに寄稿したコラム「神崎洋治のDVDならまかせなさい」からお届け。最新のコラムは書店で販売中の月刊PC
Mode本誌で読んでね!
なになに? 「最近、過去の連載で掲載した記事が多いじゃないか」って? 気にしない気にしない(汗;)。
■HDDレコーダーがこれからヒットする予感
今回はちょっとジャーナリストとして未来の話をしたいと思う。とはいえ近い将来のこと。数年後のビデオレコーダーはブルーレイでもHD
DVDでもなく、HDDレコーディングだけの製品が主役だろう。だから次世代DVD規格が重要なのは記録型より流通作品用のプレスメディアでね、といったマーケティングのお話。
東芝は記録型DVDを搭載しないHDDレコーダー『RD-H1 』の予約販売を行った。報道でもたくさん取り上げられたのでご存じの方も多いだろうね。250GBで直販価格は31,990円と価格設定も手頃です。初期ロットはわずか3時間で予約が完売したそうだ。今のところ、それほどバカ売れし続けることはないだろうけれど、実はこの製品にこそ、ビデオレコーダー機器の未来像があるんじゃないかな。
HDDのみのビデオレコーダーといえば、ソニーの「コクーン 」シリーズを思い出した人もいるかもしれない。ビジネスとしては成功しなかったけど、そのコンセプトに間違いはないんだ。時期が早すぎた・・つまり段階を踏まずに一足飛びにジャンプしてしまったこと、更に、価格が高かったことが失敗の要因。コンセプトそのものに間違いはないと思っている。その理由をマーケティング面から少しくわしく説明してみようね。
インターネットマンが執筆した
DVD&ブルーレイの教科書
体系的に学ぶ
次世代DVDのしくみ
神崎洋治、西井美鷹著
日経BPソフトプレス
1,890円。DVDの乱立した規格やメディア、ドライブのしくみをわかりやすく紹介。二層式DVD、Blu-ray等、新しい規格にも焦点を当て、特長やメディア、ドライブ、互換性などを解説。 >> 詳細を見る
1990年代、ビデオテープレコーダーが普及し、テレビ番組を録画したり、市販のビデオをダビングするという文化が一般に根付いた。このとき録画するメディア(媒体)がビデオテープであったため、我々ユーザーは録画したモノがメディアとして残っているのは当然だという認識も根付いた。次世代ビデオレコーダーを考える上でも、ハナからテープに置き換わるメディアとして検討され、その結果DVDディスクがユーザーに選ばれた。レコードからCDにあっという間に置き換わったように、ビデオテープからDVDへと急速に移行したことは皆さんもご存じの通りの経緯。「旧メディア」から「次世代メディア」へと変わる・・それが当然の感覚だったから。しかし、そんな感覚こそが終焉を迎えようとしている。
■メディアが主体の時代は終焉
メディアはコンテンツ流通(販売)形態のひとつとして重要だ。難しい言い方をしたけれど、つまり、映画やアニメなどの市販ビデオや市販DVDなどのメディアとしてこれからも重要だという意味。作品をディスクで買いたい、持っておきたいという欲望は変わらないだろう。しかし、一方で視聴や保存に不可欠のものではなくなりつつある。それはCDの衰退と、音楽コンテンツ利用の主流がiPodなどのHDDやシリコンプレイヤーに移行していることでも証明されている。CDで買ってくるけれど聞くのはHDDから・・、ネットがダウンロードして買って聞くのはHDDから・・だ。
ビデオレコーダーに話を戻すと、一昨年から記録型DVD付きHDDレコーダーの需要が爆発したけれど、ユーザーの利用の主体はHDDに録画して鑑賞したら消すという使い方がほとんどだと言われている。もちろん、DVD-Rなどのメディアに保存しておきたいという人はなくならないが、主流ではなくなりつつあるというわけ。そして、大容量HDDに録画して好きなもの好きなときに見て、観れば消す、の便利さを消費者は知ってしまった。
そもそもなぜ録画してメディアに保存しておく必要があるのか。
映画やドラマはDVDなどで市販されている。買えばいい。ただ、値段が高いのだけが現在の最大の問題点だ。とくに日本は。米国などと比べてDVDタイトルの価格がおしなべて高すぎることはみんな感じているだろう。これはコンテンツ販売元の企業努力によって安くなっていくべき課題であり、安くなればコンテンツは買う、コピーより買った方が手軽で安い、という当たり前の文化ができていくはず。日本でも洋画は劇的に安くなっていて、最近買ったスティーブマックイーンの作品は新品定価が380円だった(送料の方が高かった(笑))。頑張ったなー。いーぞいーぞ。
それなのに邦画やアニメはなにやってんの? 米国では人気作は800円から2000円以下で買えるのに、邦画は相変わらず3000円とか4000円とか値付けしている…とほほ。
それはさておき、次世代DVDによってより高画質や高音質のものになったとすれば、需要はより喚起されるだろう。
■保存しておく必要性は減るばかり
デジタル放送やケーブルなどが普及し、多チャンネルになれば再放送の機会も増える。ブロードバンド時代だから、フジテレビなどの放送局とライブドアなどのポータル業者が真面目に積極的に提携を模索すれば(笑)、本放送の翌日からすべての番組が数十〜百円で鑑賞できる時代が来るかもしれない。ビジネスとすればそれが自然だ。また、デジタル放送の普及とともにコピーワンス番組などが増加して録画環境が制限されるから、メディアに保存しておくことはますます面倒になるばかり。現時点でのコピーワンスなど、ややこしくて真面目に法律を守っている視聴者にとってはケンカ売られている気分だよ。
次世代DVDの覇権をめぐってブルーレイとHD DVDの争いだの、統一規格がどうの、と報道を賑わせているけれど、しかし、ユーザーにとってはかつてのVHS
vs ベータほどの重要度はもうない。どっちが買ってもいい。決めてくれ、だけ。買ってくるタイトルがブルーレイになるかHD DVDになるかだけだ。リビングで使うレコーダーはHDDさえあれば十分なのだから・・。
と、やんのかのと書き綴ったが、そう、これはちょっと先を予想した仮定の話。そうなるかもしれないし、ならないかもしれない。あなたはどう思う?