秋は芸術の秋・・、晩夏から秋にかけて、3本ほど舞台を観に行ってきた。カトケンの「詩人の恋」、スーパー・エキセントリックシアター(SET)の「究極音波兵器　〜ULTIMAT　ESONIC　ARM〜」、東京ボードヴィルショーの「その場しのぎの男たち」だ。どれもテーストの違う、それぞれにいい味が出ていてご機嫌だった。特に「その場しのぎの男たち」は10年ぶりの２度目の観劇なのだが、三谷幸喜さんの作品だからか、今回は満員で通路まで埋まるプレミアチケットになっていた。伊藤四朗さん最高だわ〜ぃ。笑わせてくれます。
年末にかけては井上陽水さんと吉田拓郎さんのライブを観に行くのだ。どちらも数年ぶりなので実に楽しみ。あぁ、楽しみ。閑話休題。

さて、前回は、松下電器が2004年にビデオデッキからDVDレコーダーへと市場の主役が入れ替わると推測している旨をリポートした。今回は、日立が2005年に、DVカメラのテープまでDVDに切り替わると予測するお話。

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■突然DVDに主流が入れ替わる、それは2005年・・
　「ビデオカメラの主要メディアは過去に、VHSビデオテープ、8mmビデオテープ、DVC(DVテープ)と4〜5年の周期を境にして急に入れ替わってきた。現在はDVCが主流だが、ある時期に突然DVDに主流が入れ替わると見ている。そのタイミングは2005年、ビデオカメラのメディアはDVDが50%以上を占め、DVCを上回ると予想としている」 と日立製作所 ユビキタスプラットフォームグループ DVD商品企画部の井上氏は語る。松下電器産業が「2004年度中にはDVDレコーダーの出荷台数がVHSビデオデッキを上回る」と予測していることは前号で伝えたが、日立はビデオカメラの記録メディアもまた、DVDへと移行していくと予測している。
社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)の調べでは、デジタルビデオカメラの2003年1〜6月期の出荷実績は約75万3千台、前年比132%と以前伸びている。この伸び盛りの市場に対して、日立は既にDVCに対応したデジタルビデオカメラ機器の生産を終息し、DVD対応のデジタルカメラ路線のみに切り替えている。この市場では、テープメディアからDVDメデイアに切り替わることに社運を賭けているのである。

■日立は既にビデオテープ版からは撤退し、DVDカム一本の戦略!!
同社は2000年6月に世界初となる"映像を８ｃｍＤＶＤ−ＲＡＭディスクに記録するＤＶＤビデオカメラ「ＤＶＤＣＡＭ」を発売した。この機種の販売には苦戦したが、2002年の3月には結果的に北米市場を切り開いたDZ-MV200シリーズ(国内ではDZ-MV250/270)を発売。8cmのDVD-RAMに加え、撮ったディスクを家庭用DVDプレーヤーに入れて再生できるようにDVD-Rにも対応した。北米では国内ユーザほど画質やクオリティには厳しくないと判断し、低価格による販売戦略を打った。「最初のモデルは店頭の実売価格で約$1800、やや高かった。昨年のモデルは3グレードのラインナップを揃え、2つのモデルが$1000を切るように価格設定をしたら売れ始めた。$1000以下のモデルのうち、高い方が売れた」(井上氏)。
更に今年になって、体積比で約50%の小型化を実現したDZ-MV300シリーズを発表した。5月に発表したDZ-MV380は待望のメガピクセルで、画質に厳しい国内ユーザを意識したモデルだ。価格はオープンだが、店頭では前機種より同等か安くなるように設定し、「DVDカム WOOO」というシリーズ名を与えた。「WOOO」(ウー!)は今話題のプラズマ(液晶)ハイビジョンTVのブランドとして知られているが、同じ冠を与えていることからも同社がDVDカムに賭ける意気込みが伺える。「前年比約5倍の出荷台数」(井上氏)と売れ行きは好調だ。
たしかにDVDカムの利点は多い。日立はまず重ね撮りのトラブルがほとんどないことを強調する。「例えば、子供の運動会を撮るとき、午前中に撮影した映像を昼食時に再生して楽しみ、午後の部の競技をまた撮り足す、といったことが行われる。DVCではその際に撮った映像の最後の位置にテープを合わせないと重ね撮りして消してしまうトラブルになる」という。また、DVD-RAMに撮影した場合、撮った映像のカット編集が簡単な操作でできる。パソコンに映像を取り込んで本格的に編集したりDVDオーサリングしたい場合も「DVDカムならUSB2.0コネクタに接続してファイル転送するのでDVCの約50%の転送時間で済む」。DVCの場合、取り込みたい映像の時間と同じだけ取り込み作業時間が必要となる。DVD-RでDVDビデオモードで撮影した場合、撮ったメディアを一般の家庭用DVDプレーヤーでそのまま再生できるのも利点だろう(相性や反射率の問題で再生できない一部のプレーヤーをのぞく。)
ただし、DVDプレーヤーで再生するためにはDVD-Rメディアをファイナライズする必要があり、ファイナライズ操作を行うと以降はカメラで追加録画ができなくなる。こういう制限はユーザをまだまだ困惑させてしまうだろう。今後の課題としては大きい。

■DVDの時代がそこまで来ている
改めて考えると、ビデオカメラを購入する際にDVCを選択する強い理由はない。あえていえば小さいことくらい。仮に同等サイズのカメラを見せられてこれからはDVD対応が主流なんです、と言われれば拒む理由もない。必要なものは"主流"と呼べるきっかけだけだ。松下電器産業は日立と提携して同機種を「DVDデジカム」の愛称で販売している。同社広報によると「DVDデジカムはまだビデオカメラ市場の大きな柱にはまだなっていないが、期待はしている」と日立と比べて控えめだが、取り扱いメーカーが増えることは主流への重要なプロセスであることは言うまでもない。

(※今回はPC Modeで僕が執筆/掲載したコラムを転載したものです)