■2006年は薄型大画面がもっと売れる
2006年は前半だけでも今からワクワクするイベントが目白押しだ。
昨年末に沸いたフィギュアスケートが注目されるトリノ五輪がまもなく開催され、その後も野球のワールドカップと言われるワールドベースボールクラシック(WBC)が3月に、サッカーのワールドカップドイツ大会が6月に開催される。
世界的なスポーツイベントがきっかけになって、家電売り場では大画面テレビやビデオレコーダー関連の製品がよく売れることは知られているが、今年は、大画面液晶/プラズマテレビ(以降薄型テレビ)の価格が劇的に下がるのではと、期待を込めた予想まで囁かれ、「そろそろ薄型大画面テレビを買っちゃおう」という人も多いことだろう。昨年の薄型テレビ販売の主流は32型で店頭での割安感もあった。ブラウン管の大画面テレビは実質36型止まりだから、それを超える大画面となる37型以上に主力モデルが以降する2006年は薄型テレビの需要がいっそう喚起されるに違いない。
でも、ちょっと待ってね。
高画質に目の肥えたユーザにとっては、リビングのテレビを大画面にすればすべてが満足、というわけでもなさそうだぞ。家電売り場に並ぶ大画面薄型テレビの画質を見て「ハイビジョン放送はきれいだけれど、通常のアナログ放送はずいぶんと粗くて見づらいなぁ」と感じた人も多いと思う。32型や36型テレビでは気にならなかったのに、大画面薄型テレビに変えた途端に今までのアナログ放送、ビデオ録画した番組、ビデオカメラで撮影した映像などの画質が、とても粗く見えるかもしれないよね。デジタル放送やハイビジョンの普及を目前に控え、テレビを中心とした様々なコンテンツの画像サイズが変わりつつある。今はその過渡期なのだ。
■ハイビジョンと標準テレビ、解像度の違い

いまの一般放送SDTVとハイビジョン(HDTV)の画面サイズの違い。この違いが画質の差、細かさ、鮮明さを大きく左右する。 |
テレビの場合、解像度は走査線の数で表す場合が多く、アナログ放送の走査線は525本だ。ただし、左から右へ表示した走査線が、再び左へ戻る時間(帰線期間)などが含まれるので、実際に映し出されるのは480本程度。また、画面の縦横比を表わすアスペクト比は4:3で、これを「標準テレビ
SDTV(Standard Definition TeleVision)」と呼んでいる。パソコンの解像度風に表現すると720×480ドットとなり、これを基本にビデオ録画機なども作られている。テープの場合はVHSが解像度240本、高画質のS-VHSでも400本で、DVDビデオの場合は480本だ。
一方、これから標準となる「ハイビジョン」は「高精細度(解像度)テレビ HDTV(High
Definition TeleVision」と呼ばれ、走査線は1080本に増えている(720本の規格もあります)。アスペクト比は16:9でSDTVより横長だ。「ハイビジョン」という言葉はNHKが開発したアナログ高品位放送に端を発していて、HDTVもハイビジョンと呼んでいるのは日本だけ。HDはこれからはハードディスクではなくハイディフィニションなのだ(意味不明)。解像度で表現すると1920×1080。
例えば、パソコンのCRTの解像度も含めて比較すると解りやすいですが、1024×768のデスクトップ画面内に、SDTVの映像は十分に表示しきれるが、HDTVの画面は大きくはみ出してしまう。それほどにHDTVの情報量は大きくなっているだ。
■ゲームはハイデフ、DVDも次世代へ

ソニーのHD対応ハンディカム。2006年後半からはハイビジョン対応の需要が一気に高まると予想する。 |
デジタル放送には、アナログ放送(SDTV)と同等の画質で放送している番組もあれば、ハイビジョン(HDTV)で放送しているものもある。しかし、大画面テレビで見るとその画質の差は歴然としているため、近い将来にはハイビジョン放送が当たり前で、SDTVの番組は画質が悪くて見られたもんじゃないとなるのは確実だ。
従来のゲーム機の画質にも不満が出るだろう。マイクロソフトは発売したばかりの次世代ゲーム機『Xbox360』に「ハイデフ」というキーワードを使っている。ハイデフとは?
ハイデフこそ前出の「High Definition」の略でハイビジョンの鮮明画像を実現する。ビデオカメラで撮影した映像も高画質が望まれ、ソニー『HDR-HC1』などハイビジョン対応製品への買い替えも検討したくなるに違いない。こうして、大画面テレビを中心に、いろいろなコンテンツや機器の映像が高画質なHDTV解像度へと急激にシフトしていく可能性が高いのだ。
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DVDレコーダーの場合、基本は前述したとおりSDTVだ。これは最初の考え方がSDTVだったのだから、「標準仕様」を考えればどうにも変えられない。しかし工夫はできる。画質と録画時間を画質モードが左右するが、高画質モードの「XP」や「SP」では水平解像度が約500本、長時間モードの「LP」「EP」では約250本と半分に設定されていたところを、パナソニックのDIGAの最新機種では、LPモードも500本として画質を維持するように工夫されている。
また、内蔵HDDにはハイビジョン放送を高画質のまま録画する機能を搭載した機種も登場した。内蔵HDDに録画して再生するだけなら独自の技術と仕様で録画/再生することが可能だからだ。しかし、DVDビデオやVRモードなどは、規格で解像度やデータ転送容量などが決められていますので高画質と互換性を保ってDVDメディアに保存することはできない。そこで期待するのがブルーレイやHD
DVDなどの次世代DVDメディアというわけなんだね。
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