今回も連載中の月刊PC Modeに寄稿したコラム「神崎洋治のDVDならまかせなさい」からお届け。
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■-Rの8倍速メディアが値下がり!!
私はヨドバシカメラ町田店でよくDVD-Rメディアを買う。「That's」ブランドで知られる太陽誘電製のディスクが10枚入ったスピンドルケース入りがお気に入りなんだけど、先日、4倍速メディアが(10枚で)1,480円に値下がりしたと喜んでいたら、8倍速メディアも100円違いの1,580円になった。8倍速メディアがいよいよ買い時になったなぁ、と実感するこの頃。4月に入ってからは一層値下がりして、ユーザーにとっては嬉しい限り。
ところで、高速化そのものはユーザーにとって嬉しいことなんだけど、±RWやRAMなど、書換型DVDメディアについて言えばちょっと怪しい雲行き。それは従来のメディアと2005年以降主流になっていくだろう高速メディアでは、ともすれば互換性がないのである。
■-RW高速化で新規格に

これがRW2対応のDVD-RWディスク。ロゴマークは青枠の場所に。

RW2とは、通称RWリビジョン3。ハードメーカーは6倍速メディアと呼ぶ。2か3か、はたまた6なのか…。
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6倍書込に対応した-RWメディアが日本ビクターから発売されたのは昨年12月。
このディスクのパッケージには「RW2」(写真)というマークが書かれていて、パイオニア「DVR-A09」(DVR-109)、アイオーデータ機器「DVR-UN16A」(NEC製ND-3520A)、ロジテック「LDR-HA165」(日立LG製GSA-4163B)などで6倍速書込ができる。
RW2とはなんだ?
で、「RW2」というマークは、昨年10月にDVDフォーラムで承認された新しい-RWの規格「DVD-RW
Version 1.2 Optional specifications 6X-speed DVD-RW Revision 3.0規格」(通称RWリビジョン3)に準拠したメディアであることを意味する。ものすご〜く長い名前のこの規格はいったい何かというと、2倍〜6倍速に対応したDVD-RWの高速規格のことだ。新技術で高速性を向上するためにメディアの材質や、必要となるドライブのレーザー性能が大幅に変更となった。それによって従来の1〜2倍速メディアや対応ドライブとは互換性がとれなくなっちゃった。それで、明確に分けるために新規格の扱いとなったというわけだ。
「RW2」マークが付いた6倍速メディアは、最大1倍速記録対応のRWドライブでは使えない。2〜4倍速対応ドライブでも原則としてはダメだけど、日本ビクターのWEBページでは「ドライブメーカーが対応のファームウェアを提供する一部のドライブでは利用することができる」旨が書かれている。しかし、各社メーカーのWEBサイトではRW2に対応するために旧機種のファームウェアを更新する類のアナウンスはない。パイオニアや周辺機器メーカーに問い合わせたところ、旧機種に関してはファーウェアで対応する具体的な予定はないそうな。
高速化は大歓迎なんだけど、このような状況だとユーザーにとっては少しややこしく感じる。
そもそも通称の規格名が「リビジョン3」、ロゴマークは「RW2」、高速モードは今後「Class1」(従来の1〜2倍速はClass0)と呼ばれ、呼称の数字からしてバラバラ。しかもドライブのメーカーはRW2というロゴマーク表記を積極的に使用せず「6倍速メディア対応」とうたっているので「この表記やマークを確認すればひと目で解る」とは言えない。
そうなると気になるのは具体的なトラブルだ。
日本ビクターのWEBページでは、新規格対応ファームウェアへの更新をせずに、従来のRWドライブで使用した場合は、ドライブのソフトウェアの不備によりドライブ及びディスクが破損する場合がある、と書かれている。更にFAQでは、ディスクが排出(EJECT)できなくなったり、ドライブの故障、ディスクの書き込み・読み込みができなくなる、この故障が発生したときに使用したディスクに損傷を与える、などの可能性が挙げられている。
率直に言って嫌な感じだ。
実は、-RWメディアについては2002年に同様のトラブルが発生した経緯がある。そのときは4倍速対応に関連してのことだったが、パイオニア、ソニー、シャープ、アップルなどが、DVDレコーダーやDVDドライブ製品について、お詫びとファームウェアの更新をアナウンスをした。
■+RWとRAMも高速な新規格を策定へ
しかし、実は高速化による規格分裂の流れはDVD-RWだけではない。
+RW陣営も昨年12月にDVD+RWアライアンスが8倍速対応のDVD+RW規格を発表)しており、既に製品化、従来の2.4〜4倍速対応の+RWドライブでは記録できないことがアナウンスされている(インプレス
AV Watch)。こちらは「DVD+RW high speed」(8〜12倍速)というロゴを導入。ちなみにDVD+RWアライアンスでは16倍速+Rディスクについての注意点もアナウンスし、ファームウェアのアップデートを推奨しているので要チェックだ。
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また、DVD-RAMは6〜16倍速対応の新規格(Class1)が今年前半に策定される予定で、これに対応するメディアは従来の2〜5倍速対応(Class0)ドライブでは書込ができない。
DVD-Rも昨年、従来のドライブとは互換性が低いCPRM対応メディアが発売され、まもなく2層メディアの登場も予定されている。便利になる反面、ユーザーから見れば一層混乱してきた印象は否めないが、こういうときに重要なのは「自分が使っている記録型DVDドライブやDVDレコーダーのメーカーのWEBページを定期的に確認し、新しいファームウェアが配布されていないかどうか確認すること」。それこそがトラブルを避ける方法だ。
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