■ みんながきれいな画質にこだわる理由
ソニーのDVDレコーダー「スゴ録」一覧の一部分。「フルHD」やら「HDMI端子」やら謎めいた記号が並ぶ・・。
いま家電量販店などの店頭に並んでいる大画面テレビやDVD/HDDレコーダ製品には、地上デジタル(地デジ)放送と地上アナログ放送の両方のチューナーを搭載している機種が多くなってきた。2011年に地上アナログ放送が終了になり、すべて地デジへの移行が予定されているため、テレビやレコーダ製品をこれから5年以上使うつもりであれば、地デジ・チューナー搭載機種を購入しておくべきだろう。
また、今はアナログと地デジがほぼ同じ内容で放送されているので(一部の地域に限られますが)、チャンネルを切り替えながらデジタルとアナログの画質を見比べられることができるのも面白い。初めて体感したときはその違いに驚くと思うよ。
さて、流行の地デジ対応の大画面テレビではハイビジョン(HD)放送が手軽に観られるようになる一方で、粗い画質は目立つ。高解像度のHD画質と従来のSD画質の差がよりハッキリすれば、SD画質ももっときれいに観たいというニーズも加速するだろう。こうして、レコーダのメーカ各社は「ハイビジョンはもちろんきれいに、DVDや従来のSD画質ももっときれいに録画・再生…」を念頭に様々な高画質技術を投入しているわけだ。
■ 画質を決める録画モード、でも表示方法は各社まちまち
パソコンやレコーダで録画した番組は圧縮した動画ファイルでディスクに保存され、高画質で保存するほどファイルの容量は大きくなる。パソコンとDVDレコーダで、動画圧縮の技術原理は同じですが、表示の仕方が異なるのはご存じの人も多いことだろう。
ソニーが提供するDVDレコーダー「スゴ録」の比較表。同じソニー製品であってもモードによってビットレートや録画時間が異なることが解る。
パソコンでは1秒間にどれだけの情報を使うかを「ビットレート」と呼ばれる数値(単位はbps:bits
per second)で表し、レコーダでは主に「XP」や「SP」といった「画質モード」で表される。
ただ、画質モードはメーカーや機種によってモード名やそのビットレートは異なり、統一されていないのが難点だ。
例えば、パナソニックの『EX-550/350/150』では高画質から順にXP、SP、LP、EPと4種類のモードが用意されているが、ソニーの『RDZ-D90/D70/D50』では、XP、XSP、SP、LSP、ESP、LP、EP、SLPとなんと、8種類もある。東芝『RD-X6/T1』ではSPとLPの2種類だけで、あとはビットレートをユーザが数値で選択するマニュアルモードとなり、A1モード
(片面ジャスト)/A2モード (二面ジャスト)/DLモード(二層ジャスト)とDVDダビングにあわせたモードもある。
DVDはこんなところでもややこしく、ユーザを悩ませている・・
ところで、「SP」を標準の画質モードとするのが一般的だ。VHSビデオと同様にDVD-R(一層)1枚に2時間(強)が録画できるから。しかし、同じSPでも東芝のビットレートは4.6Mbps、ソニーは5.01Mbpsと異なるので、画質や1枚に録画できる最大時間は異なるのだ。・・・・なんのための「モード」なのか・・ふぅ〜。
■ ソニーの高画質映像処理技術
できるだけ体感の画質をきれいに見せようという技術も採用されている。ソニーが開発した高画質圧縮技術「適応型デジタルノイズリダクション」がそのひとつだ。
波が打ち寄せるビーチの映像を例にとってみよう。
細かく動く波の映像部分は変化が予測しづらく、四角いブロックノイズが出やすい。しかし、その一方でほとんど動きのない青空の部分にはノイズは発生しない。そこで画像全体のノイズの量を解析し、動きが激しい部分やブロックノイズが多く発生する部分だけに集中してデジタルノイズ除去処理を行う技術を開発した。
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また、「2パスエンコード」も高画質技術のひとつだ。
ハイビジョン映像をDVDに記録するときには標準画質(SD)になってしまうが、映像を高画質で圧縮したいときに業務用のDVDビデオ編集機やパソコンで用いられている「2パス・エンコード」機能を搭載し、高画質をできるだけ保つ工夫がされている。2パス・エンコードとは、最適な情報量配分を知るために1回(1パス)映像全体を分析し(可変転送レート配分の最適化)、2回めで求めた情報に従って圧縮する技術。これを応用して、ハイビジョンをHDDに録画するときに1パスの作業を行っておき、DVDにダビングをする際に1パスで求めた情報をもとに2パスめの圧縮と保存を行い、高画質を実現する。これらは「スゴ録 」の一部の機種に既に実装されている。
■ HDMI接続ならDVD映像をハイビジョン相当に変換
最近のハイビジョン対応テレビやレコーダでは、HDMI(High
Definition Multimedia Interface)端子を搭載した機種が登場している。
なんだいHDMI端子って?
そんな人がまだ多いだろうが、これが意外と重要な製品選びのポイントなのだ。
従来のコンポジットやS、D端子の場合、映像信号はアナログでやりとりされているが、HDMIケーブル接続ではデジタルのまま信号劣化のないクリアな映像と音声をやりとりすることができる。更に、HDMI接続の場合に限り、標準(有効走査線480本)のデジタルSD信号を、有効走査線1080本(総走査線1125本)のハイビジョン信号に変換(アップスケーリング)して出力できる機種が増えている。つまり、D端子では最高画質が表示できないが、HDMI端子接続なら最高画質で表示できる構造のDVDレコーダー機器もあるわけだ。
なんにせよすなわち、HDMI端子ならDVDをハイビジョンと同等の走査線数に変換された画質で楽しむことができる のじゃ。
こりはうれすぃ。画質にこだわりたい人は購入の際にHDMI端子搭載機種かどうかをチェックしよう。一般にはまだあまり知られていないので、特価セール品には非搭載の機種も多いようだから要注意。
ちなみにゲーム機ではDVDドライブを搭載したXbox360はHDMI非搭載、ブルーレイ搭載のPS3はフルHD(1080P)対応でHDMI搭載が予定されている。