脱サラしてオークションでセドラーとして生計を立てる男、その名も「シオサカ!!」 今日もひとりでレッツゴーゴー古本屋。日本中の写真集コレクターに愛を届けるため、シオサカは今日も走り続けるのだっだっだっ・・・の後編。
■オークションと通販の大きな違い
iman
前回 はオークションでの集客のポイントを聞かせてもらっている途中で時間が来ちゃって。
集客のポイントは「常に魅力溢れる商品を並べておく 」と「商品説明を詳しく、エピソード付きで 」でしたね。あと、よく記事で見かける"オークションで高値を付けるコツ"に、「開始価格の設定を低く抑える」っていうのがありますけれど・・。
シオサカ
そうですね。価格はあくまで落札者が決めるものだと思いますね。前回も話しましたが、神田神保町界隈では写真集がプレミア価格で販売されています。しかし、あの価格はあくまで古書店が決めたもので、それにはニーズとずいぶん開きがあるものが実はたくさんあります。神田神保町で15,000円で売られているプレミア写真集が、オークションでは1,000円でも落札されないとか・・ね。この場合、そのときの価値は1,000円にも満たないのであって、古書店が付けている価格はなんの意味も持ちませんよね。オークションの素晴らしいところは、常に価格はユーザが決める 、ということだと思うんです。開始価格がプレミア価格なら、ただの通販と同じです 。
iman
なるほど、その話だけでもオークションへの熱意が伝わってきますね。
シオサカ
それから、安く出品することによって多くの入札者をあおるというメリットもありますね。結構、人間の心理って「負けたくない」と思う部分が働くでしょうから、残り5分の攻防で何人かが競ってくれた結果、とんでもない高値になってこちらが驚くときもあります。
iman
Yahoo!オークションには、出品している各商品毎に「アクセス総数 」と「ウォッチリストに追加した総数 」の数値が表示されるようになっていて、出品者はそれを把握することができますが、だいたい平均でどの程度ですか?
シオサカ
人気のないものでアクセスが100のウォッチが10、人気があるもので300の30ってところですね。でも、価格が上がるときは2人でも競ってくれたら高騰します。
iman
なるほど。あ、聞こうと思っていたんですが、アダルト、18禁、H系の商品の販売について何か気を使っていることとかありますか?
シオサカ
Yahoo!オークションって、あるキーワードになる言葉で検索してヒットした商品をほぼ無条件に削除している傾向にあるようです。だから、H系を出品するときは商品説明には気を使いますね。でも、H系は高値になる物も多いので出品時の腕の見せ所とも言えますけれど。消されないけど・・そそる言葉ね(笑)。
もちろん、セーラー服や体操服など、例えコスプレであっても、少女のモデルが使われているように誤解する商品の出品は厳禁ですよね。
■普通郵便でのトラブルの実状
iman
話は変わりますが、一日数10冊を出品していると送付なども大変だと思いますが、よく「普通郵便はトラブルがある 」と聞きますが、経験からその辺の実状はどうですか?
シオサカ
普通郵便はトラブルがありますね。300冊落札されたら、そのうち約10%がゆうパック(注:ゆうパックは書留なので比較的安全)を希望されますから、270冊が普通郵便(冊子小包)ということになります。そのうち1冊は紛失する割合です。
iman
紛失すると調べようがないわけですよね。
シオサカ
郵便局でなくなったのか、輸送中か、先方のポストでなくなったのか全く判別できません。
かといって「こっちは送ったんだから知らない」というわけにもいかないですよね、実際。送ったという証拠も残らないのですから。
iman
紛失の確率が高い時期ってありますか?
シオサカ
あります。年末/年始とゴールデンウィーク です。
iman
理由は推測できる?
シオサカ
不在が多いことでしょうね。不在で先方ポストが溢れたりして、送った商品が入りきらずポストからはみ出ていたり、その側に置いていかれたりすると、通りかがりで持って行っちゃう人もいるんじゃないでしょうか。
iman
あまり大きな声では言えませんが、僕が高校生の頃、年末年始の繁忙期に郵便局でアルバイトしていた友人がいたんですが、そいつの担当している地域に大きな林がありまして。
シオサカ
ふむ。林が。・・捨てちゃったとか。
iman
そうそう。林が暗いから怖くって、林の向こうの家には配達しないで帰ってきた、とか言っていました。とんでもない話です。
シオサカ
今年の年末/年始は発送しなくて済むように、終了日の調整をして出品しました(笑)。ヤバいですからね。
■オークション業の一日
iman
読者の方は「オークションで食ってる人の一日ってどんなだろう」って思ってる人も多いと思います。その辺を具体的に。たしか、ワンルーム・マンションでしたね。そこにMacintoshが1台。
シオサカ
ワンルーム・アパートってバカにしてませんでした(笑)?
iman
そう言いましたが、バカにしてるなんて(笑)。
シオサカ
MacintoshはiMACです。その横で目覚めます。朝10時起床。
まずメールと自分のオークションブースをチェック。
11時、前の晩のうちに梱包しておいた発送物を郵便局に持ち込む。
月曜は発送物が50冊を超えるときもあるので自転車で郵便局と自宅を三回くらい往復するときもあります。
iman
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シオサカ
ないです。
12時、「今日はどこのルートにしようかなあ」なんて考えながら自転車に乗り、駅に向かう。4〜5時間で20軒くらい古本屋をまわれるルートを10通り以上確保してあります。でもクルマ持ってればなあ・・・。13時、第1チェックポイント到着。さてさて今日の出物は・・・・
ううう、ここには何にもない。不吉な予感・・・
そんなこんなで自転車、電車、バスを乗り継ぎ、どんどんチェックポイントを回る。
回るたびに悲喜こもごも。すごい掘り出し物を見つけたときは思わず声をあげちゃうときも!反面、一冊も見つからないときはどっと疲れが・・・。
iman
目に浮かぶなぁ(笑)。
シオサカ
21時、ヘトヘトになって帰宅。即座にメールとブースのチェック。
「お、今日の入金はあれとあれで、今現在確定している落札はこのくらいの金額かあ?もっとあがってくれないと困るなあ。」なんてひとり言しきり。
22時出品開始、表紙の画像などをスキャンして商品説明の文章考えて結構大変。時には一冊の出品に30分くらいかけるときもある。
24時30分。本日のオークション終了が集中。この時間から25時30分の間に落札を集中させてます。「やったぁ、本日の売り上げノルマ達成!」と毎日叫ぶ・・予定。
27時(午前3時)出品、梱包、メール送信終了。「さて、明日はどこのルート回ろうかなぁ」なんて考えながら就寝。おやすみなさい・・・。
iman
好きでないとできませんね(笑)。
■ネットオークションにひとこと
iman
さて、最後にYahoo!オークションについて、言いたいことってありますか? 特に直接、伝えたりしません(笑)けど。
シオサカ
カテゴリーをもっと矛盾のないように設定してもらいたいですね。例えば、ヌードはアダルトカテゴリー以外には出品してはいけないとしていながら、非アダルトカテゴリーの写真集にヌード写真集しか出していない女優のカテゴリーがあったりします。例えば、飯島愛とか。こういった矛盾を解決してもらいたいです。それから、多くの出品者(写真集)が抱えている問題ですが、H系を出品したときに削除される対象の統一性を保ってもらいたいです。
オークション全般について言えば、まだ未成熟な市場だと思うんですよ。だから今はいいけど、何年か後もこの形が続いていくかわかりません。将来どういったことが出来る仕組みに替わっているのか、今は見守るしかないですね。
今回は、オークションの出品の大ベテランとも言うべきシオサカ氏に出品者の立場として話を聞いた。オークションを楽しむ読者にも、いくつか参考になる話もあったのではなかろうか。中には、自分もオークションで食って行けたら、と思った人もいるかもしれないが、前回の会話で感じた「職人性が必要」ということも考慮しなくてはならない。
少なくとも落札率95%を達成するためのポイントは、商品説明に書き込む情報の濃さにある。また、一日中写真集を買って回るときにも、高値が付いたり、たくさんの人が欲しがる逸品を判別する能力が必要だ。つまり、好きであると同時に、頭の中に写真集やタレントの情報が既に詰まっていて、その情報をフル活用して、仕入れから商品説明まで自分の力で作り上げていくということだ。どうやら誰にでもできるというわけではなさそうである。
出品者と落札者、落札者どうし、それぞれの微妙な駆け引きが魅力的なネット・オークションだが、時として犯罪や嫌がらせの現場になることもあり、その暗黒面も無視できない。今回はあえてそれらに触れなかったが、折を見て触れていきたいと思うので、これからもよろしく。